メメント

両手いっぱいの好きなものについて

2019-01-01から1年間の記事一覧

世界の美しさについて

始まりを随分遠くに残して、ここまで辿り着いたように思う。 思い返したところで、そこにあるのはよくある生活のよくある日常、それでも、必死になって「私」にしがみついてきた毎日だった。いつの間にか遥か彼方に置き去りにした自分をもう一度抱きしめるた…

amazarashi Live Tour 2019「未来になれなかった全ての夜に」@新潟

道すがら何があった?その答えこそ今の僕で秋田ひろむ「命にふさわしい」、2017年 幾つもの選択肢のなかから選ぶことができるのは、大抵1つだけだった。1つを選んでは、他を切り捨て、そうやって選ばれたものたちが積み重なることで、今の私は形作られている…

体調をくずした話

熱を出すことは滅多にない。特にここ数年、発熱した記憶が一切ない。何らかの体調不良に見舞われることは多少あるのだが、外に出れないなんて事態になることは年に1度くらいである。 こんな具合で、ありがたいことに基本的にはいつも非常に健康なので、突如…

THE BACK HORN「枝」|無常を抱く大団円

『THE BACK HORN』の1曲目から順を追って、それぞれについて綴りたかった、という想いをあっけなく風に遊ばせ、このタイミングで「枝」である。空前絶後の大御所、ベスト中のベスト、数多の通り名を持つであろう(?)この大傑作、もとい切なさと無常を際限…

かけがえのない無意味について

私情により、心にぽっかり穴が開いた。ほかでは埋められない代物だ。心に開いた穴はいつだって、代替品で埋まるはずがない。だから、開いた穴はそのままにして、耳に2つ、通算13個目の穴を物理的に開けた。 開いた穴をそのままにして、開けた穴のケアをする…

THE BACK HORN「ハロー」|やさしくて、かなしい

かくして私にとってTHE BACK HORNの1枚目になったアルバムが、6thのセルフタイトル『THE BACK HORN』である。なかでも「ハロー」は、特別好きな曲だ。 天文学辞典によれば「ハローとは、渦巻銀河の円盤を包みこむように丸く分布している星の成分」であり、「…

THE BACK HORN「敗者の刑」|雷に打たれたような出会い

私が好きなもの、それは酒。それは文学。それは音楽。 酔いたいがために酒を飲んだことはない。単に私は美味い酒に貪欲で、それらを堪能したいからこそ嗜むに過ぎない。これは別の話。 本を貪るように読むことがある。好きであることに違いはないが、どこか…

『断片的なものの社会学』

出会いというのは、何も人とのそれを意味するわけではないことを改めて実感したのは、恥ずかしいことについ最近のことだ。それは音楽、それは読書。ものすごいスピードで私の目の前から過ぎ去っていく人やモノ。それらをたまたま知って、たまたま掬う。そん…

手放せるそのときまで

1月6日。豊川稲荷別院へ足を運んだ。年明け早々、ご縁を断ち切ろうと、目論んで。 思った以上に大きな神社で、大本命の叶稲荷をなかなか見つけられず、友人と彷徨いながら、ようやく辿り着けたのだった。 境内は参拝客で賑わっていたのに、叶稲荷の周りには…

金色に散りばめられた悲しみについて

「黒地に花が舞ったようなイメージ」だと、彼はそう言った。 振り返れば遥か遠く。汗ばむ陽気に、グレーのジャケットを纏って初夏。現実に起こったことであったのか、ひどく現実味が薄くて、訝しいくらいに遠い遠い昔。そうした記憶が奥深くに沈潜しては浮か…