メメント

両手いっぱいの好きなものについて

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

THE BACK HORN「夕焼けマーチ」|ポップに彩る終焉

このアルバムのあまりの重厚さに11曲しか収録されていないことに驚きつつも、『人間プログラム』が幕を閉じようとしている。 このアルバムを通しで聴くと50分ほどの時間になるようだが、これほどまでに濃密な50分間はTHE BACK HORNだからこそ創出しうる時間…

THE BACK HORN「空、星、海の夜」|光に導かれる者

youtu.be 2枚目のアルバムを『人間プログラム』に決めたのは、「空、星、海の夜」を聴いていたときに「この曲について書きたい」と思ったからである。 あれから随分と時間が経ってしまったけれど、ようやくここまでやってくることができた。いよいよ「空、星…

THE BACK HORN「雨」|世界に色彩が与えられる瞬間について

ライブで聴くことができると、その前奏の佇まいにさめざめとして思わず声をあげそうになる。ライブで聴けたときは意表を突かれてあんぐりを口を開けて立ち尽くしてしまった。ただ、うれしかった。静と動が手を取り合って絶妙な均衡を保つ「雨」。この曲に奪…

THE BACK HORN「アカイヤミ」|瑞々しく禍々しい狂気

耳鳴りのようなキーンという音が耳を劈く、これは開幕の合図だ。 「アカイヤミ」を聴いたとき、この曲には暗闇にも勝る恐ろしさが潜んでいて、暗闇以上に不気味だと思った。「アカイヤミ」を知ったばかりの頃は、この曲がなんだか無性に怖くてあまり聴きたく…

THE BACK HORN「ひょうひょうと」|人間らしい感情の集積が描き出す葛藤

「ひょうひょうと」のひょうひょうとしていないところが好きだ、と言う言葉を聞いたことがある。私も心から同意する。『人間プログラム』のなかでも頭角を現す「ひょうひょうと」は、『BEST THE BACK HORNⅡ』の2枚目に収録する曲をアンケートで募った際に堂…

THE BACK HORN「ミスターワールド」|せめぎ合いから生成される狂おしさの渦

「ミスターワールド」の全体を弓がしなるように伸びやかに鳴り響くベースがとても好きだ。天使の描写を一層感慨深く思うようになったのは、栄純先生の「あいしてぬ」を聴いたからかもしれない。 「あいしてぬ」はeijun名義で作られたラブリーポップの塊がご…